乳腺外科の特徴や乳腺外科に転職するメリット・デメリットについてご紹介します。

1人の患者さんと長期にわたって向かい合う業務内容が人気の乳腺外科
乳腺外科は乳がんの患者さん、乳がん疑いの患者さんの診療から治療(オペや投薬)を行っている乳がん専門の診療科です。
日本人女性がもっとも罹患するリスクの高いがんが乳がんであり、その乳がんを専門に診療するのが乳腺外科なのです。そのため、乳腺外科の患者さんのほとんどが女性であり、男性患者さんはごく少数であるという特徴があります。
また、乳がんの治療は手術が終わっても、入院・外来での化学療法、乳房再建術、その後の検診や予防のための化学療法などがありますので、1人の患者さんと年単位で長期にわたって関わる診療科でもあります。
ここでは、乳腺外科の看護師の具体的な業務内容やメリット・デメリットについて、また年収や転職のポイントについて紹介しています。
乳腺外科の看護師の仕事内容
乳腺外科の看護師の役割は、乳がん治療に立ち向かう患者さんを支えることです。がん治療は、身体的だけでなく精神的にも大きな苦痛を伴うものです。
特に乳がんは、オペで女性のアイデンティティともいえる乳房を切除することがありますので、患者さんのショックはそのほかの部位のがんと診断されるよりも大きいことが多いのです。
そのような患者さんを支え、患者さんが納得できて、しかも効果が大きい治療やケアを受けることができるようにサポートしたり、再発の予防や早期発見ができるように継続的にケアをしたり、治療中や治療後もその人らしく、アイデンティティを保てるように支援することが、乳腺外科の看護師の役割であり、やりがいを感じる部分であるといえるでしょう。
乳腺外科の仕事の特徴とは?
病棟の場合、一般的な外科に比べると化学療法の看護を行う機会が多くなります。もちろん、オペ前後の看護も行いますので、オペ前の化学療法、オペ前・オペ後の看護、オペ後の化学療法と、乳腺外科はがんの患者さんの看護を一貫して行うことができます。
また、形成外科と連携して乳房再建術を行うところが増えていますので、がんの治療が終わったあとの看護も行うことになります。
乳腺外科の外来は、通院での化学療法を行っている患者さんへの化学療法看護や家族性乳がんのカウンセリングなど一般的な外来業務以外の専門性が高い業務を行うことになりますので、専門性を高めたい、自分の得意分野を作りたいという看護師さんにとっては、乳腺外科はピッタリの診療科といえるでしょう。
乳腺外科で働くメリット
乳腺外科で働いている看護師の方から聞く乳腺外科で働く代表的なメリットとしては、下記が挙げられます。
- やりがいを感じられる
- 女性の視点ならではのケアができる
- 乳がんに関する知識がつく
やりがいを感じられる
医学の進歩によって、乳がんは早期発見をすれば治る病気になりつつあり、乳腺外科は医学の最前線で患者さんの命を救うサポートができるというやりがいを感じられる職場なのです。
乳がんは女性にとって、とても辛い病気です。命の危険があるだけでなく、乳房を切除するかどうかの決断を迫られたり、治療の段階においても辛いことがたくさんあります。乳腺外科の看護師は、そんな女性たちを医療の面でも精神的にも支える力強い存在です。
女性の視点ならではのケアができる
同じ女性だからこそ、親身になって相談に乗ることもできますし、その上で医療のプロとしてのアドバイスもできます。患者さんががんと診断された場合には、家族も不安に陥ることが多いため、そのケアも必要です。それらをすべて同時に行うことは大変ですが、だからこそやりがいのある仕事なのです。
配慮することも多く難しい看護ではありますが、病気を克服して元気に社会復帰する患者さんをみると、大きなやりがいを感じることができます。
また、患者さんに頼られる存在になることは、看護師としての大きな自信につながります。
乳がんに関する知識がつく
乳腺の病気や乳がんについての知識を身につけることは、自分の体を守ることにもなります。女性看護師の場合は、看護師であっても乳がんになる可能性はあるので、自分に兆候が表れた場合に早期発見、早期治療につながれば、完治することも十分に可能です。自己診断は難しいものですが、常に乳がんに対する意識をもち、しっかり検診を受けることが大切なのです。
看護師としての専門的な技術はもちろんですが、乳がん患者などには精神的なアドバイスの力が必要不可欠となります。メンタル面での上手なアドバイス方法、相談に親身に乗る方法、正しい補正下着やケア用品などを説明する能力などが身につきます。
乳腺外科で働くデメリット
一方、乳腺外科で働いている看護師の方から聞く乳腺外科で働く代表的なデメリットには、下記が挙げられます。
- 精神的に辛い
- 仕事がハードな病院が多い
精神的に辛い
女性特有の病気だけに、精神的に辛い思いを共有してしまうということがあります。乳腺外来では、小さな子どもを残してお母さんが乳がんで命を落としたり、若い女性が乳房を失って辛い思いをするのを目の当たりにするケースも少なくありません。
親身になることは大切ですが、精神的に辛くなってしまい、別の職場に移っていく看護師が多いのも確かです。そのため、それに立ち向かえる精神的な強さが必要です。
仕事がハードな病院が多い
病院にもよりますが、乳がん患者が多く入院している病棟になると、どうしても急変なども多くなるため、残業が増えたり、忙しくて毎日バタバタすることもあります。特に乳がん患者などでは容態が急変してしまうこともあり、残業や夜勤などもあります。体力的にもハードであるといえます。精神的にも体力的にも健康な人が乳腺外科の看護師に向いているといえます。
また、最近では夜勤専従などを取りいれるなどして、日勤のみの勤務を可能にしたりと、多様な働き方を可能にする病院も増えているので、そういったところを探すのもひとつの方法です。
乳腺外科の仕事はこんな方にお勧め
下記に当てはまる方は、乳腺外科への転職がおすすめです。
- 同じ女性として寄り添える方
- 常に新しいことを学び続ける向上心がある方
同じ女性として寄り添える方
乳がんや乳腺に関わる疾患は女性特有の病気ですから、親身になってケアができることが大切です。 特に乳がんなどは、命のリスクがあるだけでなく、命が助かっても乳房を失う不安があったりと、女性として悩むことも多い疾患です。家族にとっても辛い選択を迫られるため、看護師には患者さん本人はもちろん、家族も支えられるコミュニケーションスキルが求められます。
常に新しいことを学び続ける向上心がある方
乳がんに関する研究は現在も積極的に進められていることから、看護師に対する勉強会や研修会が頻繁に行われる病院もあります。検査方法や治療方法、またはその後の乳房再建法、リンパ浮腫など、学ぶことはたくさんあります。また、アドバイスする力などは病気に対する深い知識と少しずつの経験が必要となります。毎日何かを学ぶという熱心な姿勢が大切です。
乳腺外科に転職する際の注意点
乳腺外科に転職する際には、以下に注意しましょう。
- 平均の残業時間を確認する
- 目的に応じて病院のオペ件数などを調べる
平均の残業時間を確認する
乳腺外科への看護師求人を探す注意点としては、勤務形態や、どの程度忙しくて月平均でどのくらい残業があるのかといったことを事前にチェックしておくことが大切です。
がん患者の多い乳腺外科では、毎日忙しくて残業が当たり前、という病院も多く、そうなると体に負担がかかってメンタルにも影響が現れたりします。強い精神力で患者さんを支えるためにも、ある程度労働条件については考慮しましょう。精神的に辛い作業も多いので、しっかりとオンオフの切り替えができるかどうかのチェックは必須です。
目的に応じて病院のオペ件数などを調べる
オペ件数が多ければ、それだけ忙しい職場ではありますが、乳腺外科の看護の経験を積むのに適した職場です。また、形成外科と協力して、乳房再建術を行っているかどうかも乳腺外科を選ぶうえで、重要なポイントになります。
そして、近年は遺伝子の乳がんの認識が広がってきていて、遺伝性乳がんのカウンセリングを行っているところが増えています。遺伝性乳がんやその看護に興味がある人は、そのような乳腺外科を選ぶといいでしょう。
あとは病棟ではなく、外来の乳腺外科を志望する人は、外来での化学療法を行っているかどうかをチェックしましょう。一般的に外来は専門性を深めにくいのですが、化学療法を行っている乳腺外科の外来なら、がん看護や化学療法の看護の専門性を深めていくことができます。
乳腺外科の看護師の求人の特徴・年収について
乳腺外科の看護師の求人の特徴
乳腺外科を置く病院は持病者数も少ないことから、乳腺外科の看護師の求人は少ない傾向にあります。
よって、自分の希望する働き方や年収に合わせて、じっくりと転職先を探すためには、転職サイトなどをうまく活用するなど仕事を続けながら様々な求人を比較検討できる環境をつくると良いでしょう。
乳腺外科の看護師の年収
平均年収は、通常の看護師の平均年収とあまり変わりません。平均年収は約350万~500万円、平均の月収は約30万円程度、ボーナスは年間約80万円程度です。もちろんこれは、病院の種類や規模、看護師の年齢や経験の差によって大きく異なります。
大学病院や総合病院の看護師は平均年収は高い傾向にあり、一般病院や個人病院では平均年収はやや低めです。また、新人看護師に比べてベテラン師長クラスになると、年収は大きくアップします。
乳腺外科の看護師へ転職を成功させるポイント
日勤パート看護師の需要もある
乳腺外科で働くパートの看護師の場合は、時給計算になります。時給にすると、約1,500円程度が相場です。こちらも一般看護師の時給と比較しても大した違いはありません。乳がんの検診などでは、日勤のパート看護師の需要もあります。
乳がん看護認定看護師などの資格取得を目指す
乳腺外科でお給料をアップするには、乳腺外科で役立つ資格を取得してスキルアップをしましょう。
役立つ資格は、やはり乳がん看護の認定看護師です。そのほか、がん化学療法看護や、がん性疼痛看護、がん放射線療法看護の認定看護師の資格も生かすことができますし、がん患者専門看護師も良いでしょう。
転職エージェントからの効率的な情報収集がおすすめ!
乳腺外科は患者さんにとっても辛い治療のある診療科です。そのため、より患者さんに寄り添った看護ができる病院選びが大切です。その場合、病院をいくつかピックアップして、より希望に合う場所を探してみましょう。病院の雰囲気や設備などを詳しく知りたいときは、複数の転職サイトに登録して、キャリアアドバイザーの情報をもとに比較してみるのもおすすめです。
下記の転職エージェントでは、乳腺外科の看護師に転職するための面接のアドバイスや応募先の職場の内情を詳細に教えてくれるなど、転職活動で有利になる情報を提供してくれるので積極的に活用しましょう。
転職エージェントは相談も無料で、相談したからといって必ず転職する必要もありません。まだ転職しようかどうか迷っている方でも親身に相談に乗ってくれますので、ぜひ上手に活用してください。