「転職」を「看護行為」、「労働環境の改善」を「健康の増進」と言い換えてみると、転職も医療と同じものとして考えることができます。

転職のアナムネを取る
転職したいと感じた時、自身の状態を「転職という環境改善手段が必要な患者」だと考えてみると、心身の回復のために「適切な看護」を考える必要があります。
看護にあたっては、まず患者の問題を把握して解決に必要な情報を収集することが必要です。同様に、転職にあたっては下記を整理して書き出してみると良いでしょう。
- これまでの転職歴
- 転職を考えたきっかけ
- 今の職場への不満
- 今の職場への不満に対する改善の取り組みとその結果
- 次の職場に求めるもの(人間関係・労働条件・年収・スキル習得・勤務地)
- 転職に関する他者への相談履歴
- 今後のライフイベント・生活の変化
これらの情報は、状況を見極めて、今後の適切な対処を決める上で重要な情報となります。
ナイチンゲールに学ぶ看護師の転職
ナイチンゲールにならえば、看護とは「最善の状態に患者をおくこと」となりますので、転職によってストレスが少なく、やる気をもって働ける状態になるために最善を尽くすのが「転職の看護」となるでしょう。
また、ナイチンゲールの「病気の看護ではなく、病人の看護である」という視点も重要です。問題自体よりも、その問題に自分がどういう反応を示しているかを客観的にとらえ直す視点です。
普段、あまり意識していなかった自分の思考や行動を改めて観察し、その根底にあるものを探ってみましょう
ヘンダーソンの基本的看護の14の要素
また、ヘンダーソンの看護の基本14要素からも転職を考えてみましょう。まずは、元となるのは以下の14のリストです。
看護の基本となる14の要素
- 正常な呼吸
- 適切な飲食
- 身体の老廃物の排泄
- 好ましい肢位の保持
- 睡眠と休息
- 適当な衣類の選択と着脱
- 適切な体温の維持
- 身体を清潔に保つ
- 危険の回避と傷害の未然防止
- 他者とのコミュニケーション、自己の表出
- 信仰の実践、善行の実施
- 達成感のある仕事
- 遊び、レクリエーションへの参加
- 健康増進、好奇心の充足
上記を、一つ一つ労働の条件へと置き換えてみると、以下のようになります。
労働の基本となる14の要素
- 無遅刻・無欠勤で出勤し、勤務できている
- 適切な研修や学習ができている
- 適度なストレス解消ができている
- 好ましい科で上司や同僚と働くことができている
- 適切な睡眠時間と休息が確保できている
- 適切な肩書きが割り振られており、引き継ぎも問題なくできている
- モチベーションが安定している
- 職場や院内が清潔に保たれており、物品も整理されている。
- 業務上、起こりそうな問題が事前に想定され、対処が準備されている
- 職場の仲間や患者と適切なコミュニケーションと自己表現ができている
- 自分なりの看護観に基づいて、善いと思う看護が実践できている
- やりがいのある仕事ができている
- オフの時間を全力で楽しむことができている
- 心身の健康のために必要な時間を使うことができている
現在の職場での状況を整理した上で、転職することにより、どの要素を改善することができるかを検討すると良いでしょう。