
看護師になるための勉強の一つ、看護学実習ではいろんな出来事がありました。
看護実習でも実際の仕事でも理不尽なこと・・・ありますよね。
学生時代の実習で、社会の理不尽さが心にしみたお話です。
赤ちゃんとミルク
実習先にも慣れてきて、赤ちゃんにミルクを飲ませようとしていた時のことです。
新生児の看護を学ぶ実習だったので、何か行動する前には必ず教官に報告し、どうしてそれが必要なのかなど理由も話してから実行に移します。
勝手に行動して何かミスやトラブルが起こらないようにするためです。
赤ちゃんは特に繊細で、トラブルが直接、命にかかわることもあります。赤ちゃんにミルクを与える前にも教官に報告しに行きます。
- ミルクを与えること
- 与えるのに適した温度は何度くらいか
- どのように温めるか
- 与える時の注意点
一回一回、くわしく報告する必要がありました。
報告も済み、教官からOKが出てようやく、哺乳瓶に入ったミルクのある保管場所にたどり着きました。
赤ちゃんに何するの!?
ミルクを冷たいまま赤ちゃんに与えてしまうと、一気に胃や腸が冷やされて下痢が起きたり、免疫力が低下したりしてしまうことがあります。
哺乳瓶に入ったミルク手に、温める場所へ向かおうとしたところで、突然、遠くから響く叫び声に呼び止められました。
「赤ちゃんに何するの!?」
ものすごい剣幕でした。
その勢いのまま先輩看護師は
「赤ちゃんに冷たいミルクをあげるなんて、どういうつもりか」と。
「ミルクが冷たいまま赤ちゃんに与えようとしている」と思い込んでマシンガンのように話し続けます。
「ただ、ミルクを温めようと、哺乳瓶を持って歩いていただけなのに・・・」
と心の中でつぶやきながら、
「温めるつもりでした」
と答えるだけで精一杯。学生でしたし、まさかそんなことを言われるとは思ってもおらず、頭の中が真っ白になっていました。
あまりにひどい誤解と、感情的とも思える話しぶりに、何とも言えない後味の悪い感覚だけが残りました。
誤解が招く誤解
通常、実習の最終日には学生と実習担当の教官、教授、病棟で実習担当をしてくださっていた副師長で振り返りを行います。
今回の新生児看護の実習でも同じように皆で集まって振り返りをしていました。
学生一人ずつ実習の感想を述べていき、教官と副師長さんからお話を頂きます。
突然、凍りついたような表情をした教授が怒りを隠した声で
「誰か、ミルクを冷たいまま与えようとしたみたいだけど。どういうことですか?」と。
実はこの教授、実習にほとんど姿を見せずに、何かと文句ばかり言うので、学生からの評判はあまり良いとはお世辞にも言えない人物でした。
どうやら「赤ちゃんに何するの!?」と呼び止めた先輩看護師が誤解したまま副師長、教授に話を通してしまっていたようです。
悔しさと悲しさと怒り
教授の静かな怒りの声を聞いた時、悔しさと悲しさと怒りが混ざり、一瞬時間がとまったような感覚におちいりました。
「その時の状況を何も知らない教授に言われたくない」
「先輩看護師もちゃんと状況を話してよ・・・」
「何も知らないのに決めつけて話さないで!」
徐々に心の中は怒りだけで満たされていきました。
「それ、私のことを言っているんだと思います!」
ここで黙っているわけにはいかないと体が勝手に反応してしまいました。
そこからは川に流されるように、実はそうではなくきちんと教官にも報告していたこと、温めるために動いていたところで看護師から勝手に誤解されて厳しく言われたことなど、するすると口から言葉が出ていきました。
「誤解を解きたい」「学生をもう少しだけ信じて欲しい」その一心で言葉を精いっぱいつなぎました。
学生実習の思い出
今思えば、少々生意気な言い方も含まれていたかもしれません。でも、違うことは黙っていられない性格なので引き下がることもできませんでした。
一通り話し終わると、教授は
「そういうことね・・・ちゃんと報告してたのかしら。」
とまだ何かしら問題があったのではないかと疑っているようでした。
長かった振り返りが一通り終わり、解散することになりました。
その時に、実習担当の教官の方が
「私もちゃんと副師長と話しをしておけばよかったよね、ごめんね。私たちのミスだと思う。」
と言ってくれたのは唯一の救いでした。
幾分救われた気持ちがしましたが、悔しさがこみあげてきて、その場で思わず涙が溢れました。
心に残るもの
患者様や関わる方々の中で辛く悲しくて泣けるもの、もちろんあります。
しかし実習では理不尽な経験をする機会も多いのです。
みんな最初は同じ看護学生で、同じように勉強して看護師になりキャリアを積んでいるのに、そういう時期があったことを忘れているのでは?と思うほど。そして、いつまでも心に残ります。
「どうせ心に残るなら、良い思い出や経験を残して欲しい」
看護師として学生指導を行う今では、楽しく実習してもらいたいと心がけるようにしています。
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