
民間の外科病院に勤めていた時、毎年冬になると入院する患者様がいらっしゃいました。しかも、外科に関連する病気ではなく、「肺炎」ということで毎年同じ時期に入院されます。
私が勤めたことのある民間病院は1つですので、他がどうかはわかりませんが、民間病院というのはやはり利益重視の部分があるのは確かです。
私のいた外科病院では、看護師の目線からは明らかに専門外に見える患者様を受け入れることもしばしばありました。
いつも病名は変わらず「肺炎」
毎年冬に入院される患者様は80代女性の方。
「息子さん夫婦はすぐ近くに住んでいる」とお聞きしたことはありますが、基本的には一人暮らしで息子さん夫婦との交流はあまり無いようでした。
ご本人は「具合が悪い」「食欲がない」とおっしゃって、毎年入院されています。
外来で最終的にどうなって入院が決まるのかはわかりませんでしたが、なぜか毎回つけられる病名は「肺炎」でした。
冬場は特に一人暮らしのご老人にとっては辛い季節なのだろうと推察します。
話の節々から思うに、どうも病院では「食事が出る」「空調が効いていて過ごしやすい」「身の回りの手伝いをしてくれる」ということに魅力を感じていらっしゃるようでした。
特に熱もなければ、咳や痰もこれと言ってありません。
ですから、その患者様には何か特別にする看護というものがなく・・・
ホテル代わり
病院をそういう風に考えて使う方がいるものなんだという驚きを感じながら、外科病院を離れた今でも忘れることはありません。
大学病院に転職した今では、このような形での入院はまずありません。やはり珍しい入院の形だったのだろうと思います。
「病院をホテル代わりにしてー」
と思ったりもしますが、患者様の生活環境や年齢などを考えると看護師も人間ですから情がうつります。
入院されている間くらいは心地よく過ごしていただきたいとも思い、時間をとれるときにはお話ししたりしていました。
長寿の秘訣
80歳過ぎて一人暮らし、近くの息子夫婦とも交流がないとなると寂しいでしょうし、冬は寒く、家からあまりでなくなる季節。お年を召してくれば体も動かしづらくなる。なおさら閉じこもりがちになるのでしょう。
でも、いつものように病院に来れば、みんな話を聞いてくれるから楽しいし安心できる。
医療費削減がさけばれる中、問題のある入院の形かもしれませんが、この患者様にとっては健康に長生きするための秘訣だったのかもしれません。
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