
『人工透析科に転職するメリット・デメリット』では、透析室に転職するメリット・デメリット・注意点を紹介しましたが、透析は特殊なので、転職するとしても知識が不足しているなど不安を感じることが多いのではないでしょうか?
夜勤なしの日勤のみ、少ない残業、待遇面では申し分ない透析室への転職ですが、転職前に必要な知識や透析室看護師の専門用語についてまとめました。
透析の仕組みと流れ
血液透析では血液を体内から外部に出し、機械を通して血液をきれいにして、体内に戻します。透析では、1分間に200mLもの血液を取り出すため、手首の細い血管ではこれだけの血流量を確保できません。
そのため、手首の親指側に手術で静脈と動脈をつなぎ合わせて人工的に太い静脈を作ります。これをシャントと言います。透析はまず、シャントに針を刺す「穿刺(せんし)」から始まります。
動脈側の穿刺針から脱血し、静脈側の穿刺針から返血します。最初は低い血流量から開始し、徐々に血流量を上げていき、患者ごとにあらかじめ設定された血流量までにして維持します。
患者さんは透析中どう過ごす?
透析中の患者さんは長い時間透析室のベッドの上で過ごします。中には眠っている人もいれば、テレビや本を読みながら過ごす人、患者さん同士でおしゃべりして過ごす人まで様々です。
血液透析中は、血圧の変化から、めまい、吐き気、悪心が起きることもあり、イライラしている患者さんもいます。透析後に頭痛や疲労感が強く出ることも多いので、患者さんに声をかける時は少し意識しておいた方が良いかもしれません。
ドライより1キロ残してはダメ!とDr指示 何の意味?
血液透析ではあらかじめ、ドライウェイトを設定して行います。これを良く略して「ドライ」と表現します。
ドライウェイトをそのまま日本語にすると乾燥重量ですが、血液透析での意味は少し異なります。透析でのドライウェイトは、血液透析後の体重を表します。余分な水分を透析によって体から取り除いた時の体重のことです。
目標とするドライウェイトを患者さんごとに設定して透析を行います。このドライウェイトは季節や食事量などによっても変動するため、細やかな病院では1か月に1度ドライウェイトの見直しを行うところもあります。
「一時間イーカムで休む」ってどういうこと?
イーカム(ECUM)は透析液を流さず、置換液の投与も行わずに、除水のみを行う方法です。
血液透析をしながら除水を行う場合に多い血圧低下や痙攣が起きることがあります。これに対してイーカムでは、血液透析中に除水する場合と異なり、老廃物の除去はほとんどされませんが、こういった血圧低下などが起きにくいメリットがあります。
ドライウェイトに達していないため、除水は行いたいのに、血圧が低下したりなどで血液透析が困難になる場合にイーカムを挟んだりします。
透析前に飲む薬を看護師が管理することもある
透析室に通う患者さんにはメトリジンのような昇圧剤が良く使われます。
透析前には飲んでおかないと低血圧になりすぎてしまう場合などは、透析前にタイミングよく昇圧剤を飲む必要があります。
患者さんがしっかりしていて、自分で薬を管理している人もいれば、中には上手に理解することができず、透析室の看護師が薬を飲むタイミングを管理してあげなければならない場合も少なくありません。
透析で血圧が逆に上がるケースもある?
透析中は除水されていき、血圧は下がるのが通常です。しかし、透析の後半になって血圧が逆に上がり始めることがあります。
原因は完全に解明されているわけではありませんが、腎臓の昇圧ホルモンが関係していると考えられています。
体の水分が抜けていくと、どうにか元の状態に戻そうとする機能(ホメオスタシス)が働きます。すると、腎臓からレニンという血圧を上げるホルモンが出され、血圧が上昇するというわけです。
転職直後に一番緊張する場面
最初は手が震えたり、緊張で汗だくになったり、慣れるまでは大変なのが穿刺です。
太い針を刺すので、失敗すると患者さんに怒られたり・・・
透析室に長く通う患者さんは看護師よりも「透析のベテラン」ということもあるので、新人の頃は特に緊張します。
透析室の看護師の仕事は特殊なので、最初は戸惑うかもしれませんが、だからこそ身に付く技術もあります。
透析室に看護師が転職する流れについては別の記事で触れています。
一度、透析室の経験をしておけば、復職する時にも生かせるので、透析室に興味があればチャレンジしてみましょう。
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