
幼いころから、夫婦の仲の良いところを見ずに育った私。そんな私が看護師になって、「捨てたものじゃない」と思ったある出来事があります。
余裕のある気遣い
私がいつものように内科で看護師をしていた時のある日、入院してこられたのは、40歳代前半の女性。「貧血」の治療で内科に入院されていた女性は旦那様からはチエと呼ばれていました。
- アトピー性皮膚炎
- 子宮筋腫(摘出)
- 乳がん術後
・・・複数の大病を経験されているにも関わらず、訪室するといつも天使のような微笑みで迎えてくれます。
「わぁ、私より手が冷たいじゃない大丈夫?」
チエさんは、周囲を気遣う余裕のある素敵な女性でした。
夫と二人三脚
旦那様は何度も何度もお見舞いに来られていました。
週末には昼食をチエさんと一緒に取ったり、平日でも、お仕事帰りのスーツ姿で様子を見にいらしていました。
仕事帰りのお見舞いは夜勤帯のずい分遅い時間だったと記憶しています。お仕事も朝から晩まで相当な忙しさだったのではないかと思います。
「マメでお優しい旦那様ですねぇ」
「本当に。感謝してもしきれないわ」
…チエさんのその素直「すぎる」とも言える反応に、半ば戸惑っている自分が恥ずかしくなりました。
仮に同じ投げ掛けをした場合「私が家にいたら何にもしないんだから」とセキを切ったように延々と、その場にはいない「彼」に対する悪口大会が始まるであろうと思われる家庭で育った私。
美しい夫婦愛は「インガルス一家の物語」の中だけの話、現実にはあり得ないと思い込んでいました。
病気のデパート
「付き合っている時から私あんまり丈夫じゃなかったんだけど結婚してくれて」
「子供が出来ない体になってからも励ましてくれたり」
「私の親が私のことを『病気のデパート』って言った時なんか『一番辛いのは本人ですよ』って庇ってくれて」
次々出てくる「おのろけ」が微笑ましくて衝撃的で、すっかり心が浄化されたような気分になりました。
とりあえず今回の治療は終了し、無事退院されましたが、楽観視できないチエさんの予後を心配しながら見送りました。
旦那様と2人で歩いていくチエさんの後ろ姿には、将来の不安はありませんでした。
1人でも多くの人に優しさの輪が広がることを願いながら、遠くなる姿を追いました。
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